【知恵袋】高専って何? 高専の魅力を現役高専生が解説!

https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kousen/index.htm より引用 (2021/9/17)

 今回の企画は「Yahoo!知恵袋の質問に現役高専生が答えてみた!」です。Yahoo!知恵袋の高専や明石高専についての質問について現役明石高専生の視点からバシバシ答えていきたいと思います。今回の記事がご好評いただけましたら連載企画として続編を作りたい思います。

 よろしければ感想・リクエストを「#WithKOSEN知恵袋」でつぶやいてください!知恵袋以外のリクエストやご質問も「#WithKOSEN」で募集中です。twitter・instagramのフォローもお待ちしています。

 今回の記事を担当するのはさだまさし大好きでおなじみSarada-Sanです。あくまで一個人の回答ですが、参考にしていただければ幸いです。

 お急ぎの方は、目次からまとめ』にジャンプしていただくと重要ポイントだけご覧いただけます!それでは記念すべき第一回(仮)行ってみましょう!

ご質問 & ベストアンサー

質問

高専(高等専門学校)って何ですか?
立ち位置としては、『大学や短大と同じ』と検索すれば出てきたんですが、専門学校とは違うんですよね。

専門学校と高等専門学校ってどっちが基本的に上ですか?

専門学校と高校の間?みたいな感じ?


(質問のページが消えてしまったためリンクは割愛します)

ベストアンサー

簡単に言うと5年制の工業高校です。
工業高校+その専門の短大という感じです。
卒業したら準学士です。つまり短大卒と同等ですね
専門学校は職業訓練校で、卒業しても[準学士]や[学士]などの学歴にはなりません
また、専門学校は滅多に落ちることがないのに対し、高専は定員、倍率があります
つまり、学歴的にも高専の方が上と言えます

(質問のページが消えてしまったためリンクは割愛します)

現役高専生からの回答

高専って何?

 高専についての情報は高専機構のHPでもご覧いただけます。もし高専の制度の詳細や高専全体としての取り組みが気になる方は是非ご覧ください。

国立高等専門学校機構HP

 それでは答えていきましょう!端的に言えば、高専は基本的に入学から5年間(商船に関する学科は5年6ヶ月)の過程で、工学・技術・商船といった専門的な教育を行う学校です。5年間の一貫した教育が受けられるのは高専ならではの魅力ですよね。

https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kousen/index.htm より引用 (2021/9/17)

 でも高専の魅力がそれだけなら、別に工業高校や専門学校に進学すればいいんじゃないかと思う人も多いはず。そこで、高専について現役の学生目線から詳しくお伝えしたいと思います。

深掘りして教えます!

 確かにベストアンサーの方がおっしゃっている通り、学位上は工業高校+短大と同じで準学士の称号がもらえますし、授業で取り扱う範囲も似た部分が多いと思います。ただ、商船などの分野は工業高校では教えてもらえません。

 ちなみに学位についてですが専門学校に進むと専門士、一般的な4年制大学を卒業すると学士、その後大学院に進むと修士、博士といった称号が与えられます。ここに関しては高専or短大卒、大学卒、大学院卒、専門学校卒、専門職大学卒で得られる学位が異なりますので、細かい話は省略させていただきます。

 次に、専門学校と高専のどちらが上かという質問ですが、私は一概に言えないと思います。なぜかといえば、基本的に高専は中学卒業後に入学しますが、専門学校は高校卒業後に入学します。そもそも入学対象者が違うのです。また、先ほども述べたように卒業時に得られる学位も異なりますから、どんな仕事に就くのかによってどの経歴が生きるかが変わってきます。

 もっと言えば高専も専門学校もあくまで分類の話ですから学校や学科ごとにレベルの違いや特色がありますし、定員や倍率も学校・学科によって大きな違いがあります。最終的にはその学校のカリキュラムや雰囲気が自分に合うかによってどちらが良いのかは変わってくるのではないでしょうか。これはどの高校・大学を選ぶにしても同じだと思います。あとは学力や欲しい学位、資格との相談です。

現役高専生が選ぶ3つのメリット

 ただ、こんな曖昧な回答では記事にするまでのことではありません。調べるだけで誰でも書けてしまいます。ここからは現役高専生が「ココ重要!」と感じた高専進学のメリットに触れてほかの進路(工業高校から短大や専門学校への進学)との比較をしていきたいと思います。それではそのメリットは何でしょうか?私が思うに大きく次の3点が考えられます

  1. 大学入試を受けなくてOK !?
  2. 自由な時間を満喫できる!
  3. 研究者になりたい人必見!? 研究者の必須スキルが学べる

大学入試を受けなくてOK !?

 まず1つ目、ふつうは高校3年次で受けなくてはならない大学入試を受けなくて済むことです。高専に入学した場合、中学卒業後から基本的に5年間在籍することになります。基本的と書いたのは留年や長期の留学、一般大学受験など特別な事情がない限りという意味です。その5年間の間は一貫した教育を受けられるうえ、基本的に定期テスト以外にテストがありません。つまり皆さんが想像するような“受験勉強をしなくてよいということです。

 しかし注意してほしいのは、それが単純に楽できるわけではないということです。というのも、高専から就職する人は比較的恵まれた就職先に就職できます。一方、大学の編入を考える人にとっては遅かれ早かれ編入試験という形で試験を受けなくてはなりません。また、編入試験はやはり特殊な部類なので普通の試験に比べて対策が取りにくい部分があるのは確かです。一つ例をあげると、大人数を扱う一般的な大学入試に比べて受験人数が少なくなる編入試験では筆記試験のほかに口頭試問を設けている大学も存在します。先ほど”皆さんが想像するような“と含みのある書き方をしたのはこのためです

 ここまで高専の特殊なところを聞いてしまうと高専やっぱ不安だなと思った方いますよね、わかります。でも、そこまで深刻に考えることはありません。確かに遅かれ早かれ入試はやってきますが、逆に言えば普通に加えて2年程度の猶予があるということです。その期間で対策を練ることは十分可能ですし、試験科目も3つ、4つ程度と少ないことが多いです。さらに偉大な先輩方が残して(遺して?)くれた過去問や、口頭試問の内容などが学校に保管されているので、それを見ればどんな対策をすればいいのかわかります。高専の先生方も最大限サポートしてくれますし、成績が芳しくないからと言ってこの大学は受けちゃダメと言われることもありません。よって、私としては高専受験の一回だけで準学士がもらえて、編入試験までの猶予が長く、さらに好きなことが早くから学べるという点でメリットが勝っていると考えます。

自由な時間を満喫できる!

 次に2つ目、これは先ほどのメリットと一部重なる部分がありますが、高専は自由な時間が長いということです。先ほど書きましたように高専では3年次に受験がありません。よって自分のやりたいことに5年間も続けて打ち込むことができます。自分のやりたいことを受験勉強に邪魔されないというのは非常に大きなメリットだと思います。

 また、高専の時間割は午前が2コマ(1コマ90分)、午後が1コマか2コマということが多く、放課後の時間も工業高校や普通高校などと比べて長いです。なので勉強や部活動、趣味などに時間を割くことができます。実際に私たちもその時間を活用してこの活動を始めたわけですし、ロボコンやデザコンなど各学科の特色を生かした課外活動も盛んですから各学生にとって有意義な時間であることは間違いないかと思います。こういった課外活動についても今後の記事で取り上げて行きますので、是非楽しみにしてお待ちいただけると嬉しいです。

研究者になりたい人必見!? 研究者の必須スキル!

 最後に3つ目、それは早いうちから現役研究者の教育を受けられることです。分類上、工業高校と普通高校は後期中等教育を行う中等教育機関に当たりますが、一方の高等専門学校は後期中等教育課程に加え高等教育課程まで指導する高等教育機関です。名前が似ているので高校と同一視されますが、どちらかといえば大学と同じ分類になります。なので高専教員には大学教員と同じく「教授」や「准教授」といった職階が付き、自身の研究を行っています。

 ですから高専ではその特徴を生かして、その分野を専門に研究している教員が指導に当たります。高専に入ってからの学習は一般科目・専門科目関係なく専門性の高い内容になっていきますから、それを専門に研究する人とそうでない人では内容の充実度や信頼性が大きく変わってきます。もちろんすべての高専教員が工業高校や普通高校の先生方と比べて専門性に優れるとは言いませんが、それでも多くの場合、高専教員のほうが専門分野のレベル高いといえるのではないでしょうか。

 加えて高専では実技的な科目に加えて理論的な部分を学んだり、卒業研究に向けた学習も行います。これはマニアックな話になりますが、レポートや論文の書き方は研究分野や提出する学会によって少しづつ異なっており、そのルールを覚えるには実際に書いて添削してもらうのが最も効率的であると私は思います。

 将来研究者になりたい人や、大学では研究に注力したい人にとって正しいレポートや論文がかけることは非常に重要ですから、レポートや論文の書き方を詳しく学びたい、学ぶべき人にとって高専を選択するメリットは非常に大きいと感じます

高専は勉強の意味が分かる場所

 ここまで3つのメリットをお伝えしてきました。ここでは”メリット”としてお伝えしましたが、冒頭にお伝えしたように正直なところ人によるところが大きいというのが私の考えです。大学受験をしなくてもよいということ一つとっても、その期間の過ごし方次第でメリットにもデメリットにもなりえます。中学校の同級生が死に物狂いで受験勉強を頑張る間、それに勝る”実用的な”学力、経験、忍耐力を身に着けられるか、それこそが高専進学をメリットにできるかを決めるわけですね。(書いてて焦る電気情報工学科3年、、、)

 しかし、これだけは確実に言えることがあります。それは、学習の重要性を感じることができるということです。学習してきたことを実践的に使うなかで、これまでの内容が伏線回収のようにつながっていく感覚は非常に興味深いです。なぜこんなことを習ってきたのか、なぜ先生方は重要だと言っていたのか、それが分かる場所です。私も住んでいた東京から明石高専までやってきて、こんな活動始めちゃうくらい魅力的な学校ですから冗談抜きで人生変わる学校だと思っています!もしかしたらあなたにも高専生の素質があるかもしれません。少なくとも損はしない学校なので、ぜひ一度高専を見に来て、進路の選択肢に加えていただければ幸いです

まとめ ~高専はこんなところ~

 ここまで記事を読んでくださってありがとうございます。それでは今回の内容を改めてまとめましょう。

  1. 高専ってどんなとこ?
    • 高専を卒業すると準学士
    • 高専がベストかは人による(私はもちろん高専でよかったと思ってます!)
  2. 進学先を決めるときは
    • どの学校がいいかは実際に見て決めよう
    • 定員や倍率は学校・学科によって違うので、自分の勉強したい分野、欲しい学位、資格と相談
  3. 高専のメリット
    • 高専は5年間通うことになるので大学受験しなくてOK、ただし大学編入を考えるなら対策は必要
    • 自由な時間で勉強、部活、趣味などいろいろなことができる
    • 早くから研究者の指導が受けられるため、専門分野のレベルが高い
      • 内容の充実度と信頼性が高い
      • レポートや論文が正しく書けるようになる
  4. 高専は勉強の意味が分かる場所!
    • 今まで習ってきたことを”実践的“に使っていく
    • 習った内容がつながっていく
    • なぜ必要なのかがわかる
  5. 絶対損はしない学校!高専をぜひ候補に(できれば明石高専も)

今回の記事はいかがでしたでしょうか?もしこの記事を読んで高専に興味を持ってくれた方や、未来の高専生が生まれてくれると非常にうれしく思います。それではまた~

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