ジャズマスターの配線の仕組みを解説!【ジャズマスター改造記③】

 どうも、hechiMa(@hechiMastar)です。今回もジャズマスター改造記をお届けします。いよいよ配線の仕組みに入っていくわけですが、第1回第2回の記事をまだ読んでないよという方は読んでおくことでサクッと今回の内容が理解できると思うので、ぜひ読んでみてくださいね。では早速いきましょう!

ジャズマスターのピックガードを外した際の写真。一見複雑だが…?

詳細に入る前に

 配線の詳細に入る前に、ジャズマスターのアッセンブリの特徴をおさらいしておきましょう。それはズバリ、プリセットスイッチの存在です。OFF、ON時にそれぞれ次のような動作をします。

  • OFFのとき:ピックアップはフロントとリアの両方が使える。ピックアップセレクターで使用するピックアップを選び、マスターコントロールを介して信号を出力する。
  • ONのとき:ピックアップはフロントしか使えない。マスターコントロールは無効化され、プリセットコントロールを介して信号を出力する。
https://naru-gakki.com/jazzmaster-control/ より引用(2022/1/27)

 なぜプリセットスイッチがあるのかというと、ジャズマスターがその名前の通り、ジャズギタリストに向けて作られたギターだからです。プリセットスイッチをONにすると、フロントピックアップの太い音が50kΩのポットを採用したプリセットトーンによってさらに甘くなり、ジャズにぴったりの太く甘いリッチな音色になるわけです。

※しかし現代では、本来ターゲットとしていたところとは異なるサーフ・オルタナ系ロックなどで使われることが多いですw

配線の仕組み

 それでは、いよいよ配線の詳細に入っていきましょう。前項で紹介したプリセットスイッチを、どのような仕組みで実現しているのでしょうか。細かい説明は後にして、一旦全体の配線図をご覧ください。

draw.io にて作成(2022/1/28)
※ボリュームポットの配線に間違いがありましたので訂正しました(2022/5/26)

 そう、プリセットスイッチの正体は第1回の記事で解説したDPDTなのです。1つのスイッチで2つの接点を変更できるという仕組みを利用してるんですね。

 なお、配線図はギターを正面から見た方向で作成しています。ですので実際にアッセンブリの配線作業をする際は、画像を左右で反転して利用していただくと分かりやすいと思います。信号が通る線は赤色、信号がGNDに落ちる線は黒色で表記してあります。線は交差していますが、導通していないため注意してください。
 また、部品について、ポットの抵抗値の()の中に記してあるアルファベットはカーブの種類です。「〇〇μF」と書かれている隣にある白い丸はコンデンサです。なお、ハイパスコンデンサは配線図では省略しています。

 以後、詳しい動作については、DPDTのスイッチレバーを右・左のどちらにするか、2パターンに分けて解説します。

プリセットスイッチ”OFF”時の動作

 まずはDPDTのスイッチレバーを右にした場合。これはプリセットスイッチがOFFの状態になります。信号の流れは以下のような図で①~③の番号を用いて説明されます。

draw.io にて作成(2022/1/29)
※ボリュームポットの配線に間違いがありましたので訂正しました(2022/5/26)
  1. ピックアップからの信号がピックアップセレクターまで送られる。
  2. ピックアップセレクターで選択した信号がマスターコントロールまで送られる。
  3. マスターコントロールで調整された信号がアウトプットジャックまで送られる。

 このような信号の流れになります。プリセットコントロールはDPDTで隔たれているため使用することができません。そのためグレーで色分けしてあります。ピックアップセレクターではリアのみ、リアとフロントのミックス(並列)、フロントのみ、の3パターンが選択できます。

プリセットスイッチ”ON”時の動作

 次にDPDTのスイッチレバーを左にした場合。これはプリセットスイッチONの状態になります。信号の流れは以下のような図で①~③の番号を用いて説明されます。

draw.io にて作成(2022/1/29)
※ボリュームポットの配線に間違いがありましたので訂正しました(2022/5/26)
  1. フロントピックアップからの信号がプリセットコントロールのトーンポットまで送られる。
  2. トーンポットで調整された信号がボリュームポットまで送られる。
  3. ボリュームポットで調整された信号がアウトプットジャックまで送られる。

 このような信号の流れになります。マスターコントロールはDPDTで隔たれているため使用することができません。そのためグレーで色分けしてあります。当然ながらピックアップセレクターが使用できないため、フロントピックアップしか使うことができません。

 また、コントロール部の配線がマスターコントロールと違いますが、動作は同じです。先にトーンで高音域を調整してから、ボリュームで音量を決めるという仕組みですね。なぜこのような配線になっているのかは不明ですが、おそらくプリセットコントロールを使用した際の音の柔らかさ、温かみに関係しているのだと思います。

まとめ

 今回はジャズマスターの配線を解説しました。フロントピックアップからの配線、コントロール部の出力からの配線がそれぞれ一度、DPDTにまとめられているところが肝です。そうすることでプリセットスイッチの仕組みを実現できているんですね。

 難点としては、どうしても配線材が長くなってしまうことが挙げられます。そのため、ピックガードのシールディングや導電塗料などのノイズ対策はしっかり行いましょう。配線もできるだけきれいにまとめることが大切です。

 次回は今回の内容を踏まえて、配線にアレンジを加えていきます。お楽しみに。

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