どうも、hechiMa(@hechiMastar)です。今回から、3週にわたってギターのメンテナンス編をお届けします。第1回は弦交換についてです。縦穴式ペグという、弦を差し込む穴が縦向きに空いているペグでの弦交換を解説します。弦交換に伴ってお手入れも行うので、そちらも興味のある方はご覧ください。それではいきましょう!
準備編
今回の作業に必要な準備物は以下が挙げられます。
写真の左上から順番にリストにしてあります。それぞれ実際に使用しているもののリンクを張り付けてあります。ラジオペンチは地元のホームセンターで購入したのでリンクは貼り付けていませんが、バネ付きのものを選びましょう。ストリングワインダーはアマゾン、その他はサウンドハウスで購入しました。一度買えば長い間使えますし、そんなに高いものではないのでサクッと揃えてしまいましょう。
弦
それぞれ簡単に紹介していきます。まずは弦について。筆者が使用しているのは“Elixir / NANOWEB Light”です。詳しい説明は省きますが、こちらは通常の弦とは違い、コーティング弦と呼ばれる類の弦です。筆者はその中でも最も有名とされるエリクサー社のNANOWEBコーティング、Lightゲージ(10-46)のものを選びました。最も安価な弦と比べると、約6倍の価格差がありますが、その値段に見合った、いやそれ以上の価値があります。通常の弦では張ってから少しの間しか持続しない、生々しく元気な音がコーティング弦では長続きすることが何よりありがたいです。こちらについては、また詳しい記事を書こうと思います。
ストリングワインダー
次にストリングワインダーです。こちらはペグを回すのが楽になるグッズで、これが無いと弦を巻くときに素手でペグを回すことになり、めちゃくちゃ労力が増えます。ストリングワインダーがあるだけで手早く弦を巻いたり緩めたりできるので、ぜひ持っておきましょう。
ストリングカッター
続いてストリングカッター。“PICKBOY SC-150”を使用しています。こちらは普通のニッパーでも代用が可能ですが、弦用のものは切れ味が違います。普通のニッパーでは、6弦などの太い弦を切るときにかなりの力が必要なのですが、ストリングカッターがあればスパスパ切れます。その他の作業の際にも、ニッパーとして使えるのでとてもおすすめです。
ポリッシュ
次は楽器用ポリッシュです。“KEN SMITH / PRO FORMULA POLISH”を使用しています。ポリッシュとはギターを汚れを落とすためのクリーナーのことです。筆者のジャズマスターのようにラッカー塗装のギターを使っている場合、ポリッシュもラッカー対応かどうか確認してから買いましょう。こちらは大定番とされているポリッシュですので当然ラッカー塗装に対応しています。
オレンジオイル
そしてオレンジオイル。“HOWARD / Orange Oil”を使用しています。こちらは木材の汚れを落とし、つやを与えるもので、指板のメンテナンスに使います。かなり容器が油でギトギトになるので、ダイソーなどのチャック付きポリ袋に入れましょう。
指板潤滑剤
次に指板潤滑剤。“TONE / FINGER EASE”を使用しています。こちらは張った弦の上に塗布することで弦の指滑りを向上させ、弦の寿命を長持ちさせることができます。弦を張った後に使います。かなり大きな効果が感じられると思うので、ぜひ使いましょう。
クロス
最後はギター用クロス。“FERNANDES / WCS Polishing Cloth 625s”を使用しています。ティッシュやふきんでもいいじゃないかと思うかもしれませんが、やはり専用のものは違います。繊維が細く、力をかけても全然塗装に傷がつきません。そのままでもいいですし、上に書いたようなオイルやクリーナーを吹き付けて使うこともできます。中性洗剤で洗えば何度も使えるので、何枚か持っておきましょう。筆者はオレンジオイル用とそれ以外の用途で2枚使っています。
というわけで、簡単に使用するものを紹介しました。どれも共通して言えることは、専用のものにはそれなりの価値があるということです。それではこれらを使って、実際に作業していきましょう。
作業編
今回の作業手順は以下になります。
- ボディと指板を掃除する
- 弦を張る
- チューニングして、指板潤滑剤を塗布する
ボディと指板を掃除する
まずは掃除から始めましょう。ポリッシュとオレンジオイル、クロスを使用します。
ボディの掃除にはポリッシュを使用します。クロスに塗布して、汚れを拭いて落としていきましょう。フロントピックアップとリアピックアップの間など、普段ギターを弾いているとなかなか触ることができない部分を重点的に掃除しましょう。ブリッジやペグ付近にもほこりが貯まっていると思うのでこちらもお忘れなく。
続いて指板を掃除していきます。オレンジオイルはその名の通り油なので、ギトギトします。ボディの掃除のときとは違うクロスを使いましょう。こちらもたっぷり塗布して、指板に塗っていきます。
左が塗布前、右が塗布後です。塗布することで、指板がつやつやして、輝きを増しているのが分かると思います。左は少しフレット付近に汚れが見えますが、オレンジオイルを使うことで右ではきれいにとれています。他にも、オレンジのいい香りがするのでなんだかグレードアップした気分になれます。
弦を張る
ボディと指板の掃除ができたら、次はいよいよ弦を張っていきます。
まずは包装を開けて弦を取り出し、ポールエンドから弦を通していきます。バズストップバーを使っている場合は、必ずその下を通すようにしてください。バズストップバーについては後述します。写真が少しボケてしまっているのは申し訳ないです。
ヘッドまで弦を持ってきたら、クロスを使って弦のよじれをなくします。そしてヘッド側に引っ張った状態で、巻く弦のペグから3つ分、余裕をもって弦を切ります。上の写真を見ていただければ分かると思います。
そして、上の写真のように、弦を切ったところからペグ1個分の位置で弦を曲げます。この際、ラジオペンチを使うと弦を曲げやすいです。
上の写真のように、弦を90度曲げてください。曲げる部分の長さが想像より長いと思うかもしれませんが、これより短いと、弦を巻くときに弦がペグから外れてしまいます。筆者はそのことに気づかず弦の端から1cm程度で曲げていたため、いつまでたっても弦が巻けずに一度弦交換を諦めたことがあります。縦穴式ペグ特有の悩みですが、ここは特に気を付けて乗り越えていきましょう。
それでは曲げた部分を縦穴に差し込み(左)、弦を巻いていきましょう(右)。巻くときのコツは、ズバリ”右手で下向きに押さえる”ということに尽きます。上の写真(右側)を見ると分かりやすいと思います。写真ではあまり力が加わっていないように見えるかもしれませんが、1弦ならまだしも6弦ともなるとかなり力が必要です。痛いです。ですがこのひと手間を加えないと、縦穴式ペグでは弦がペグから外れます。普通の横穴式ペグでも、巻いている時に弦が交差してしまい、チューニングが安定しない原因になります。ここは痛みをぐっとこらえて頑張って押さえ、ストリングワインダーを使ってササっと巻ききってしまいましょう。
回す方向は、外側からペグを見て、“反時計回り”です。これを守らないとナットからまっすぐペグへ弦が巻かれません。くれぐれも間違えないように。
さて、上の写真のようにきれいに弦を巻くことができたでしょうか。最初のうちは難しいと思いますが、慣れれば簡単です。まぁ、縦穴式ペグは筆者もいまだに苦手なんですけどね。弦を巻く部分と弦を穴にかける部分との角度にもっと差をつければ弦が外れないのに…設計者の考えが知りたいもんです。近々ペグも交換しようと思います。
チューニングして指板潤滑剤を塗布する
さて、弦が巻けたらいよいよクライマックス。チューニングしていきます。レギュラーチューニングでの各弦の音程は覚えていますか?一応確認しておきましょう。
- 1弦:E(ミ)
- 2弦:B(シ)
- 3弦:G(ソ)
- 4弦:D(レ)
- 5弦:A(ラ)
- 6弦:E(ミ)
各弦をこの音程に合わせてください。音程が高くなり張力が強くなっていくにつれ、1弦などの細い弦は切れる気がしてきますが、切れません。大丈夫です。信じて目標の音程まで巻き続けてください。
弦を巻いた直後のチューニングは、何度か繰り返し行うようにしてください。なかなかチューニングが安定しないからです。その際、上の写真のように、弦を上に引っ張ってもらうとチューニングが安定しやすいです。思いっきりやってみてください。
なお、ジャズマスターはブリッジがグラグラ動く仕様になっているので、チューニングの際、ブリッジの位置を差し込み穴の中央に位置させることを忘れないでください。上の写真で、ネック側に寄っている(左)、トレモロ側に寄っている(右)、中央に位置している(真ん中)の3つの例を示していますので参考にしてくださいね。ブリッジがどちらかに寄ってしまうと、弾いた際に共振してしまい、耳障りな高音が鳴ってしまいます。ジャズマスターユーザーで共振に悩まされている人は試してみてください。
最後に、クロスにフィンガーイーズを吹き付けて、弦を擦りましょう。これだけで弦のサビが抑えられ、寿命が延びます。また、指滑りもよくなるので演奏性も向上します。
これで今回の作業は終了です。お疲れさまでした。
バズストップバーについて
ここではバズストップバーについて、補足情報をお届けします。バズストップバーとは、ジャズマスター用のリプレイスメントパーツです。テールピースからペグまでの距離を長くすることでテンションを稼ぎ、ジャズマスターの問題点である弦落ちを防ぐことができます。
上の写真がバズストップバーです。弦が当たる部分はくるくる回るようになっており、取り付けても違和感なくギタープレイをすることができます。筆者はこのジャズマスターを中古で購入したのですが、その際、既に取り付けられていました。おかげで弦落ちを経験することなく、ここまでジャズマスターでのギターライフを送ることができています。
取り付けは、上の写真のように、トレモロの土台の上に重ねるように取り付けます。上側2つのネジを取り外し、バズストップバーを重ねてから再度ネジを締めてください。
このように、ボディや配線の改造なく、簡単に弦落ちを防止できます。テンションが強くなることによってジャズマスター特有のサウンドは少し薄れる(らしい)のですが、弦落ちしてはそもそもギターが楽しく弾けません。弦落ちに悩まされている人はぜひ試してみてください。
終わりに
今回はギターの掃除~弦を張るまでをお届けしました。ギタリストなら何度もしなければいけない作業ですので、効率化を目指して何度もチャレンジしてください。筆者もまだまだ素人ですので、精進していこうと思います。
次回からは弦を張ってからの調整作業に入っていきます。お楽しみに。
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