毎年私たちに新しい話題を提供してくれるIT企業たち、今年も新製品発表の時期がやってまいりました!!その始まりを告げるのはやはりこの企業、米アップル社(Apple Inc.)です。
前回の第1弾で、すなすなくんが紹介してくれた9月15日(日本時間)のApple Event。私 Sarada-San も、きっちりリアルタイムで見ておりました!そこで今回はその発表の中からiPhone 13シリーズにフォーカスしていきたいと思います。
工業分野を専門に学ぶ高専生として、新製品とその裏に見えるAppleの思惑を徹底的に分析していきます。もし、面白いと思ってくださった方や、「ここはこうだろう!」というご意見がありましたら「#WithKOSEN」でつぶやいてください!twitter・instagramのフォローもお待ちしています。
そして、まだ第1弾の記事を読んでいないという方、もしお時間が許すようでしたらぜひ読んでいただけるとうれしいです。
今回のiPhone何が進化した?進化のほどは如何に!?
今回のApple Eventの後、巷ではiPhone 12とあんまり変わっていないという声も聞かれますが、実際のところどうなのでしょうか?今回のiPhone 13・iPhone 13 pro について外観や性能を一つ一つ確認していきましょう。
iPhone 13 シリーズを前世代と比較!
iPhone 13 mini , iPhone 13 Pro Max はそれぞれ iPhone 13 , iPhone 13 Pro と基本的な設計が同じになっていますので、まとめて紹介させていただきます。
なお、比較写真はリンクになっております。クリックしていただくと別タブで画像のページが開きますので、詳細が確認したい方はぜひご確認ください。
iPhone 13 (mini) で何が変わった?
まずはiPhone 13とiPhone 13 miniの変更点を見ていきましょう。
- チップがA15 Bionic に
- GPUは4コア
- カメラの配置を斜めに変更
- カメラ機能強化
- センサーシフト式手振れ補正
- 暗所性能の改善
- 広角カメラ機能の改善
- 写真の編集機能強化
- シネマティックモードの実装
- カメラの大口径化
- ストレージ容量倍増
- 最小構成なら64GB → 128GB
- 画面輝度UP
- 625nt → 800nt
- カラーリングラインナップの変更
- グリーンとパープルが無くなり、ピンクが追加
- 色味の変更
- 前面のノッチは20%縮小
- 前世代より大きなバッテリー(容量の詳細は不明)
- iPhone 13 が 2.5時間増(ビデオ再生時最大19時間)
- iPhone 13 mini が1.5時間増(ビデオ再生時最大17時間)
- 厚さと重量が微増
- iOS15標準インストール
iPhone 13 Pro (Max) で何が変わった?
次にiPhone 13 ProとiPhone 13 Pro Maxの変更点を見ていきましょう。
- チップがA15 Bionic に
- GPUは5コア
- カメラ機能強化
- 光学6倍ズーム
- 暗所性能強化
- ナイトモードがすべてのカメラで使用可能に
- マクロカメラ機能の実装
- 写真の編集機能強化
- シネマティックモードの実装
- 最大4K30pの ProRes 撮影(後日実装)
- カメラの大口径化
- ストレージ容量に1TB追加
- 画面リフレッシュレートUP
- 60Hz → 最大120Hz
- 可変リフレッシュレート採用
- 10Hzから120Hzの間で可変
- 画面輝度UP
- 800nt → 1000nt
- カラーリングラインナップの変更
- パシフィックブルーがシエラブルーに変更
- 前面のノッチは20%縮小
- 前世代より大きなバッテリー(容量の詳細は不明)
- iPhone 13 Pro が 1.5時間増(ビデオ再生時最大22時間)
- iPhone 13 Pro Max が2.5時間増(ビデオ再生時最大28時間)
- 厚さと重量が微増
- iOS15標準インストール
前世代から変わっていないところは?
次はiPhone12シリーズとiPhone13シリーズを比較して変わっていない部分を見ていきましょう。
- 画面サイズ
- 5.4インチ : iPhone 13 mini
- 6.1インチ : iPhone 13 , iPhone 13 Pro
- 6.7インチ : iPhone 13 Pro Max
- 価格据え置き(括弧内は最安)
- iPhone 13 : 9万8800円~ (楽天 , simフリー)
- iPhone 13 mini : 8万6780円~ (楽天)
- iPhone 13 Pro : 12万2800円~ (楽天 , simフリー)
- iPhone 13 Pro Max : 13万4800円~ (楽天 , simフリー)
- メモリ容量
- 4GB : iPhone 13 (mini)
- 6GB : iPhone 13 Pro (Max)
- セキュリティ
- Face ID(顔認証)採用
- Touch ID(指紋認証)非搭載
- 拡張性
- 端子はLightning続投
- イヤホンジャックなし
- micro SD は使えない
- 外観・ディスプレイ
- 側面が平らなフラットデザイン
- ディスプレイ画素密度
- HDR時の輝度は1200nt
- 画面保護にCeramic Shieldを採用
- カメラ
- カメラの数
- iPhone 13 (mini) : 2
- iPhone 13 Pro (Max) : 3 + LiDAR
- LiDARセンサー搭載はProシリーズのみ
- TrueDepthカメラの仕様
- カメラの数
- 通信
- 日本国内では5Gミリ波通信に非対応
- Bluetooth バージョンは 5.0
- LDAC や aptX系 の高音質コーデックの対応はなし
- その他
- 防塵防水性能(IP68相当)
- MagSafeの仕様
その他のアップル独自の機能、取り組みは?
アップルがiPhone関連で売りにしている機能や取り組みのうち、今回のイベントで紹介されたものをご紹介します。いずれも面白い機能と取り組みですね。
- 各種サブスクリプション
- スマートデータモード
- プライバシー機能
- Siri との会話内容は基本的に外部には送られない(デフォルト)
- IPアドレスのトラッキングをブロック
- メール利用時にIPアドレスを隠すことができる
- MagSafe対応の財布を落とした時、落とした場所が分かる
- 梱包の省略や製品筐体に再生資源を利用
今年の iPhone どうなの?
皆さん、比較を見てどう思われましたか?「今年のiPhoneはあんまり変わってないな~」という人もいれば、「意外と変わってるかも!!」という方もいるかもしれません。
私個人としては、書きながら「一応、変わってはいるな~」と思いました(笑)。実はリアルタイムに発表を見た後、記事を書くために何回か見直していたのですが、確かに昔に比べれば変化の数は少ないし、過去の発表と似た内容ではありました。
でも、着実に進化はしています。A15 Bionicチップ(以下 A15)は言わずもがな、特にカメラ機能、ディスプレイ、ストレージの変化はかなり心強いアップグレードですね。カメラ機能は他社と違った方向性で攻めている感じがします。各種機能の詳細は後程『今回の進化はどう凄い?~新機能について解説~』で説明しますが、とても面白い取り組みです。
ディスプレイやストレージの進化は競合他社の機能に追いついたという感じでしょうか。ディスプレイの高リフレッシュレートや可変リフレッシュレートは昨年から実装を望む声があったので、それに答えた形ですね。ちなみにリフレッシュレートというのは画面が1秒間に何回更新されるかを示す値です。
ストレージに関しては micro SD による増設に対応する機種が多い中、iPhoneは非対応なので以前から容量不足になってしまうという声がありました。今回の容量UPはその声に答えたということでしょう。まあ、いずれにしろ学生に1TBモデル(約22万円)は買えませんが、、、、
(https://www.apple.com/jp_edu_1460/shop/buy-iphone/iphone-13-pro/ より引用(2021/9/20))
これは私の憶測ですが iPhone が micro SD 非対応なのには、大容量のモデルを売りたいという以外にも理由があると考えています。ここについては、先ほど箇条書きで紹介した内容を交えながら後程『こんな思惑も?Appleの裏事情と思惑を分析!』で紹介したいと思います。
また、今年からの変更点として iPhone 13 (mini) と iPhone 13 Pro (Max) でGPUのコア数が異なります。従来、同じ年に出たiPhoneシリーズではチップが統一の仕様だったので、これは意外でした。この戦略については次回、第3弾の中で詳しく触れようと思います。
今回の進化はどう凄い?~新技術について解説~
今回のイベントで発表された新しい機能と、それらを支える技術、いずれも興味深いものばかりです。ここではその機能と技術をできるだけわかりやすく説明していきたいと思います。
iPhone 一番の売り!カメラ機能
iPhoneシリーズといえば、ここ数年間カメラの進化を前面に押し出して広告を行ってきました。その証拠に、iPhone 13 と iPhone 13 Pro の製品ページをスクロールしていくと、まず最初にカメラの進化を強調しています。
今回の発表でもかなりの尺を使ってカメラ機能の概要を説明していました。今回はその中から
- 写真の編集機能強化
- シネマティックモードの実装
- 最大4K30pの ProRes 撮影(iPhone 13 Proシリーズのみ)
の3点について説明していきましょう。
写真の編集機能が強化!
それでは1つ目、写真の編集機能の強化について説明していきましょう。アップルはこの機能を「フォトグラフスタイル」と呼称しています。これはどういう機能かというと、A15チップに搭載された画像処理AIを利用し、写真をいくつかのパーツや要素に分けて処理することで、撮った写真を部分的に編集することが出来るというものです。
これにより、これまでは画像編集の技術が必要だったり、スマートフォン単体では難したった細かな写真編集が初心者でも簡単にできるようになるということです。デフォルトでは4種類の編集パターンが用意されているとのこと。もちろんそれ以外にも自分好みに調整、編集することも可能です。
具体的には人の肌や衣服、背景、光量、ホワイトバランスなど、複数の部分や要素に分けていることが分かります。ちなみにパーツごとに分けて処理するしくみをAppleは「画像パイプライン」と呼んでいました。
(https://www.youtube.com/watch?v=EvGOlAkLSLw より引用(2021/9/20))
シネマティックモードで動画撮影が大幅進化!
それでは2つ目、シネマティックモードの実装についてです。シネマティックモードとは何か、それはその名の通り映画のような動画が取れる機能です。といっても何のことかわかりませんよね、、、、
簡単に言えばピントを合わせるべき場所をAIを使って判定し、自動的にピントを合わせる機能です。例えば、映像に映っている人が或る一点を見つめたとしましょう。映画などでは、その人が注目している場所にピントを移動させるという技法が使われます。このようにピント位置を移動させる技法はピント送りやフォーカス送りなどと呼ばれます。
従来のスマートフォンのカメラでは手動でピントを移動する場所を指定するか、ピントを合わせる被写体を画面中央に持ってくるしかありませんでした。しかし、今回のシネマティックモードでは目線の向きなどの情報を使い、自動で適切な位置にピントを移動させることができるようになったのです。
つまりは動画撮影中のオートフォーカスが大幅に進化したという感じです。
今回さらにすごいのはここ!iPhone 13 シリーズでは後からピント位置や絞り値(ボケ感や明るさが変わる、F値ともいう)が変えられるんです。これは動画をよく撮る人にとっては朗報ですね。これで後から動画を見返すとピンボケしてた、、、、という経験をしなくて済みます。これはホントにうれしい!
ProRes 撮影で動画編集しやすい!
3つ目は、ProResでの動画撮影に対応した点です。これは先ほどの2つに比べると小さな進化と感じるかもしれません。ですが、刺さる人には刺さります。特に動画編集はパソコンでやりたい人や動画向きのカメラを持っていない人にはうれしい機能です。
そもそも“ProRes“って何という人もいるかもしれないので一応説明しておきましょう。スマホやカメラで動画を撮ったとき、その映像はもちろんストレージやSDカードに保存されますね。しかし動画を保存するときは、そのままではデータサイズが大きすぎるので圧縮されます。実は動画を圧縮する方法にはさまざまな種類があり、それを映像圧縮フォーマットといいます。
ここで問題なのは大概の圧縮フォーマットでは画質が悪くなってしまう(不可逆圧縮という)ということです。それはProResも例外ではありませんが、皆さんが普段見ているようなYouTubeに使われているフォーマットよりもきれいに圧縮できるのです。
きれいな映像のまま保存できた方が動画編集の際に手を加えても映像が破綻しにくいため、編集がしやすくなります。また、Final Cut Pro や Premiere Pro 、DaVinci Resolve といった主要な動画編集ソフトで使えるフォーマットなので、せっかく撮ったのに使えないということはほとんどないでしょう。
ここまで聞くといいことばかりかもしれませんが、一つ欠点があります。それは普及グレードの動画よりデータサイズが大きいということです。そのためiPhoneのストレージを食ってしまい、容量の小さいiPhoneではすぐストレージがいっぱいになってしまうのです。そのためか128GBモデルでは4K30pのProRes撮影はできない(フルHD/30pまで)という情報があります。
ディスプレイは目に見える進化!?
画面輝度UP、リフレッシュレートUP、可変リフレッシュレート採用。カメラの進化に隠れて影が薄いですが、私個人としては負けず劣らずの大きな進化だと思います。さらにはノッチの縮小でわずかですがシャープな印象に!(リフレッシュレートUP、可変リフレッシュレートはiPhone 13 Pro シリーズのみ)
皆さんがスマホを触っているとき一番長く見ているものは何でしょうか?それは恐らく、いや間違いなくディスプレイでしょう。つまり最も目に見える進化なのです。
まず最初に画面の輝度アップ。画面の輝度が上がれば屋外の明るい場所で写真を撮るときや、動画を見るとき、よりはっきりと画面が見えるわけです。「外を歩いていて画面が暗い」というのは意外とストレスですからね。
そして2つ目、待ちに待った高リフレッシュレート化。今までのiPhoneは同価格帯のスマートフォンが120Hzや144Hzのディスプレイを採用する中、昔ながらの60Hzだったわけです。それがついに120Hzに!
「リフレッシュレートでそんな変わるか?」と思われる方もいるかもしれませんがこれが結構違うんです。さすがに240Hzとか言われてもわかりませんが、60から120の変化はかなり大きいです。皆さんも機会があれば店頭で試してみるのもありかも!
そして3つ目、可変リフレッシュレートです。先ほどの画面輝度UPと高リフレッシュレート化はその分多くの電力を消費します。それでもiPhone 13 Pro シリーズの駆動時間が伸びているのはバッテリー増量以外にこれがあるからだと考えます。画面の動きが少ないときはリフレッシュレートを下げることで消費電力も下がりますからね。ほかの進化を支える重要な進化です。
ストレージ増量は救いの神!
スマホを使うとき、やっぱり気になるのはストレージ容量。私はスマホは最低でも128GBないと生きていけないタイプのユーザーです(笑)。きっとこの記事を読んでくれている人の中にも私を超えるヘビーユーザーがいるはず!
そんな人々を救うのが今回のアップデートです!なんと iPhone 13 と iPhone 13 mini ではストレージが倍増。128,256,512GB の3つから選べるようになりました。しかも価格据え置きで!
そして iPhone 13 Pro と iPhone 13 Pro Max には 1TBモデルが追加されました。まあ、やっぱり22万円は高くて買えませんが、、、、、
Android派の皆さん、micro SD で増やせばいいじゃんとか言っちゃだめですよ、それは野暮ってもんです(笑)。
次ページ : ここは来年以降に期待!ちょっと辛口
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