どうも、hechiMa(@hechiMastar)です。今回も前回に引き続き、ジャズマスターのメンテナンスについてお届けします。前回弦交換までを行いましたので、今回からはいよいよ本格的な調整を行っていきます。どのギターも大体のメンテナンス手順は共通なので、ジャズマスターユーザー以外の方も是非ご覧ください。それではいきましょう!
メンテナンスの順番
まず初めに、メンテナンスの順番をお伝えします。この順番は、どの種類のギターでも共通です。また、この順番を守らないと、「〇〇の調整をして△△の調整をしたらまた〇〇の調整をして~」というようにいたちごっこ的に調整をしていかなければならなくなるため、必ず守ってください。
- ネック調整
- トレモロ調整
- 弦高調整
- オクターブチューニング
- ピックアップの高さ調整
このような順番で調整を行ってください。注意点としては、あまり神経質になりすぎないことです。オクターブチューニングは正確に行う必要がありますが、その他は一概にどの状態がいいとは言えないため、ある程度見切りをつけてさっさと練習しましょう。このようなことを書いているのは、筆者がとても神経質に調整するタイプだからです。てへぺろりんこ!
今回の記事ではネック、トレモロの調整を行います。それ以降の調整は次回の記事でお届けします。
ネック調整
ネック調整とはギターのネックの反りを改善する調整のことです。ネックはその名の通りギターの首にあたる部分ですので、ここが正しく調整できていないと以降の調整は無意味です。サウンド、弾き心地、全てに悪影響が出てしまいます。このことから、何よりも先に調整します。
その前に
上の写真のように、ネックの反りには順反りと逆反りの2種類が存在します。どちらの反りにおいても、ひどい状態では特定の位置で弦がビビってしまったり、弦高が必要以上に高くなり押さえにくいうえに押弦時にチューニングがずれてしまうというデメリットのオンパレードとなります。
というわけで、いよいよネックを調整していきます。上の写真のように、調整にはカポタストと六角レンチを使用します。カポタストは反りを確認するために、六角レンチは反りを直すために使います。
実際にネック調整しよう
それではまず、ネックの反りを確認します。チューニングを行ってから、上の写真のように1フレットにカポを取り付けて、最終フレット(筆者のギターは22フレット)に指を当てて6弦を押弦し、12フレットと6弦の隙間を確認します。
筆者のギターでは上の写真のようになりました。最適とされる隙間は紙1枚分。弦がフレットからほんの少し浮いている状態のとき、ネックの反りがないと言えます。弦がフレットから浮いていると順反り、完全にくっついていると逆反りの状態です。つまり、筆者のギターのネックは少し順反りしています。
1フレットと最終フレットを押さえた時…
順反り:6弦が12フレットから完全に浮いている
逆反り:6弦が12フレットに完全に触れている
それでは反りを直しましょう。反りを直すために、ネックに入っているトラスロッドを回します。筆者のギターでは、上の写真のようにヘッド側に回すための穴が空いています。ブリッジ側に回し口があるタイプや、ネックを外さなければいけないタイプもありますが、筆者のようなタイプがもっとも一般的です。
順反りを直すときは、上の写真のように回し口に六角レンチを差し込み、時計回りに回します。逆反りの場合は反時計回りに回してください。トラスロッドは少し曲がるだけでネックへ大きな負荷がかかるため、一度に回す角度は30度までにしましょう。トラスロッドを回したら、少し待ってから再びチューニングしてネックの反りを確認し、まだ反っているようでしたら再びトラスロッドを回してください。このとき、合計90度以上は回さないということを厳守してください。
トラスロッドを回す向きは…
順反りを直す:時計回り
逆反りを直す:反時計回り
最後にもう一度チューニングを行ったらネック調整は終了です。ネックは繊細ですので、「直ったかな?」ぐらいの感覚で調整をやめておいた方が無難です。くれぐれもトラスロッドの回し過ぎにはご注意ください。
トラスロッドの仕組み
ここではトラスロッドの仕組みについて簡単に紹介します。今回紹介するのは1-wayタイプのトラスロッドです。上の写真をご覧ください。トラスロッドの正体は一端にナットの付いた金属棒です。少し曲がった状態でネックの中に挟まれ、一端はトラスロッドの端、もう一端はナットで固定されています。
ナットを締めることで、トラスロッドがまっすぐになろうとするため、相対的にネックが逆反りしていきます。つまり、ナットを「締める方向(=時計回り)」に回すと順反りが直るのです。
これと反対に、ナットを緩めるとトラスロッドが曲がろうとするため相対的にネックが順反りします。つまり、ナットを「緩める方向(=反時計回り)」に回すと逆反りが治ります。
以上が大雑把なトラスロッドの仕組みです。この他にもトラスロッドには種類があるのですが、基本の仕組みは同じなので、これを覚えておけばもうトラスロッドを回す向きに迷うことはありません。ぜひ仕組みを理解しておきましょう。
トレモロ調整
次にトレモロの調整を行います。トレモロとは、ギターについたアームを操作することで音を揺らしたり、音程を上げ下げできる仕組みのことです。こういった演奏をアーミングと言うのですが、この章ではアーミングにおけるアームを操作する硬さを調節します。
トレモロ機構にはシンクロナイズド、ビグスビ―等、いろんな種類があります。ここではジャズマスターに搭載されている“フローティングトレモロ”における調節方法について解説します。
その前に
まずは上の写真をご覧ください。これがフローティングトレモロ機構の全容です。左側の円柱形の突起の右にある六角穴のネジが、アーミングに必要な力の調整ネジとなっています。後述しますが、写真で見えている面の後ろ側にバネとテールピースがこのネジで固定されています。
ところでこのネジ、純正品ではありません。純正品は十字穴のネジでしたが、六角頭のネジに自分で付け替えました。理由はこのネジを回すために必要なトルクが大きく、純正品の十字穴だとネジ穴を潰しかねないと思ったからです。実際、ネジがとても回しやすくなりました。かなりおすすめです。
というわけで、今回使用したのは六角レンチと六角頭付きネジです。ネジの規格は「M4×30」を選びました。既に取り付けられていた十字穴のネジを外し、サイズを測り、同じ規格の六角穴のネジを購入しました。ネジについては次回の記事でまとめます。
実際にトレモロ調整しよう
フローティングトレモロの調整は至ってシンプルです。先述した六角穴のネジを回すだけです。ネジを締めるとアーミングに必要な力が大きくなり、緩めると小さくなります。これを好みの固さになるまで調整していく、という作業になります。
トレモロ調整をしたら、実際に弾きながらアーミングの固さは好みであるか確認してください。調整するたびにチューニングが狂うので、毎回チューニングを怠らずに行ってください。そして、好みの固さとなったらそこで調整をストップしていただければ、トレモロ調整は完了です。
アーミングに必要な力を…
大きくしたい:調整ネジを締める
小さくしたい:調整ネジを緩める
フローティングトレモロの仕組み
ここでは、簡単にフローティングトレモロの仕組みを紹介します。言葉で説明するのが難しいので、上の動画をご覧ください。アームを動かすことで、テールピースが支点を中心に動く様子がお分かりいただけるかと思います。先述した調整によって、動画下側に見えているバネの縮ませ具合が変化します。ネジを締めるとバネが縮むため、バネが戻ろうとする力も大きくなります。つまり、ネジを締めるとアーミングに必要な力が大きくなるわけです。
こちらのGIFをご覧いただくことで、テールピースと共にブリッジも動く様子がお分かりいただけると思います。前回の記事で、チューニングの際にブリッジを中央に位置させるように書きましたが、これは共振だけでなく、フローティングトレモロのためでもあるのです。
なお、こちらにて”円柱形の突起”と記述していますが、これは“トレモロロック”と呼ばれる機構です。上のGIFでの黄色い四角部分がこれにあたります。これをテールピース側にずらすことでトレモロロックが邪魔をしてアームが上に上がらなくなり、音程を上げることができなくなります。これによってギターの鳴りが良くなり、弦が切れた時のチューニングの狂いがなくなります。必要に応じて使いましょう。ですが筆者のギターでは設計ミスなのか、なぜかこの機能が使えません。う~んこういうところもジャズマスだなw
フローティングトレモロの詳しい仕組みが知りたい方はこちらの記事がとても参考になりますのでおすすめです。GIFもこちらからお借りしました。
最後に
今回もお疲れさまでした。ネック調整からトレモロ調整までをお届けしました。どちらも、仕組みが分かると調整が楽しくなります。筆者と一緒に、いろんなギターの様々な仕組みを学んでみてはいかがでしょうか。
次回は弦高調整、オクターブチューニング、ピックアップの高さ調整についてお届けします。ジャズマスターのメンテナンスもあと1回となりました。最後までよろしくお願いします。
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