今年も私たちに新しい話題を提供してくれるIT企業たち。22日の24:00(日本時間)からは Apple に続き Microsoft の新製品が発表されました。ついに各社の新製品がお披露目されるわけですが、今回は少し我慢していただいて、引き続き Apple Event で発表された Apple の新製品を見ていきましょう。
これまで、第1弾ではイベント概要とApple Watchについて、第2弾では iPhone 13シリーズについてお伝えしてきました。そして、第3弾となる今回はその発表の中からiPadシリーズにフォーカスしていきたいと思います。
工業分野を専門に学ぶ高専生として、新製品とその裏に見えるAppleの思惑を徹底的に分析していきます。もし、面白いと思ってくださった方や、「ここはこうだろう!」というご意見がありましたら「#WithKOSEN」でつぶやいてください!twitter・instagramのフォローもお待ちしています。
そして、まだ第1弾の記事と第2弾の記事を読んでいないという方、もしお時間が許すようでしたらぜひ読んでいただけるとうれしいです。今回もわたくしSarada-Sanがお送りします。
新iPadシリーズは何が変わった?
15日(日本時間)のApple Eventの後、巷では iPhone 13 は見送るという声も聞かれる一方、新iPadシリーズは非常に好評です。
今回、発表されたのは iPad(第9世代) と iPad mini(第6世代)の2機種。
お手ごろな価格で人気のiPadと、持ち運びやすさと高い利便性で人気のiPad miniですが、最新作ではどのような進化を遂げたのでしょうか?ということで、iPad(第9世代)とiPad mini(第6世代)の外観や性能を一つ一つ確認していきましょう。
iPad (第9世代)を前世代と比較!
今回発表された 第9世代iPadは、前世代のiPadと比べてどのように進化したのでしょうか?前世代と比べて変わった所と変わっていない所を見ていきましょう。
変わった所
- チップが A12 Bionic から A13 Bionic に
- インカメラ
- 1.2MP → 12MP
- 超広角カメラ採用
- センターフレーム (Center Stage)
- ディスプレイ仕様
- True Toneディスプレイ対応
- ストレージ倍増
- 32GB → 64GB
- 128GB → 256GB
- 64GB or 256GB
- カラーラインナップ
- ゴールドが廃止
- 前面ベゼルを黒に統一
- 重量
- Wi-Fiモデル : 3g 軽量化 (487g)
- Cellularモデル : 3g 増加 (498g)
- メモリ容量3GB
- Apple Pencil 第1世代対応
- Touch ID 対応
- イヤホンジャック搭載
- Bluetooth 4.2
- Wi-Fi 6 非対応(11acまで対応)
- Cellularモデルは4G対応
- 外観・サイズ
- バッテリーライフ
- Wifi環境下の動画再生 : 最大10時間
- アウトカメラ
- 値段(括弧内は学生価格)
- 最安 329ドル (299ドル)
- Wi-Fiモデル : 39800円 (36800円) ~
- Cellularモデル : 56800円 (52800円) ~
iPad mini (第6世代)を前世代と比較
それでは 第9世代iPadに続きまして 第6世代iPad mini が前世代と比べてどのように進化したのか、前世代と比べて変わった所と変わっていない所を見ていきましょう。
- チップが A12 Bionic から A15 Bionic に
- GPUは5コア
- フルスペックから若干のクロックダウン
- メモリ容量
- 3GB → 4GB
- USB Type-C 採用
- Apple Pencil 第2世代対応
- ディスプレイ仕様
- サイズ 7.9インチ → 8.3インチ
- Liquid Retinaディスプレイ
- スピーカーがアップグレード
- イヤホンジャック非搭載
- アウトカメラ
- 8MP → 12MP
- フラッシュライト追加
- インカメラ
- 7MP → 12MP
- 超広角カメラ採用
- センターフレーム (Center Stage)
- Wi-Fi 6 対応
- Cellularモデルは5G対応
- ただし、5Gミリ波は非対応
- 外観・サイズ
- ベゼル幅縮小
- 高さ : 7.8mm 小さく
- 厚み : 0.2mm 微増
- カラーラインナップ
- シルバーとゴールドが廃止
- ピンクとパープルが追加
- 重量
- Wi-Fiモデル : 7.5g 軽量化 (293g)
- Cellularモデル : 11.2g 軽量化 (297g)
- 値段
- 最安 399ドル → 499ドル (449ドル)
- Wi-Fiモデル : 59800円 (53800円) ~
- Cellularモデル : 77800円 (69800円) ~
- Touch ID 対応
- ただし、ホームボタン型から電源ボタン型に変更
- Bluetooth 5.0
- ストレージラインナップ
- 64GB or 256GB
- バッテリーライフ
- Wifi環境下の動画再生 : 最大10時間
結局、新iPadは何が変わった?
皆さんどうでしたでしょうか?今回のiPadシリーズは買いですか?よろしければ#WithKOSENをつけてつぶやいてみてください。それでは話を戻しましょう。
iPad (第9世代)
今回のiPadシリーズは iPad mini に変化が集約されているような印象でしたが、こうしてみてみると案外 iPad(第9世代)も良い選択肢なのではないでしょうか?
採用されたA13 Bionic チップ(以下 A13と呼称)はiPhone 11と同じチップなのでまだまだ現役スペック、さらにインカメラやセンターフレーム (Center Stage)も魅力的なアップデートになっています。センターフレーム (Center Stage)については後程『注目すべきポイント Best 3 は?』の中で解説したいと思います。
ストレージの増量は個人的にうれしいですね。以前までの最廉価モデルでは32GBと入れられるアプリの数に厳しい制約がありましたが、64GBになると少しですが余裕が出てきます。
メモリーの増量やWi-Fi 6の対応などは見送られましたが、何よりも安いので文句は言えませんね。
iPad mini (第6世代)
今回のイベント後 iPhone13シリーズを上回るほどの話題となったiPad mini(第6世代)。もともと携帯しやすいサイズ感で人気のiPad miniシリーズですが、デザインが刷新されサイズは小さく、画面はより大きくきれいになりました。
性能と価格の面では、最新のA15 Bionic チップ(以下 A15と呼称)を搭載し、メモリーも前世代から1GB増量されました。それでいて最廉価モデルで比べれば昨年発表のiPad Airより1万円安価というわけです。まあ、人気になるのも納得です。USB Type-C 採用だし(笑)。
電源ボタン型Touch ID採用やApple Pencil第2世代対応など便利な機能もキッチリ搭載していますから、上位機種と遜色なく使うことが出来ます。iPad(第9世代)でも採用されたセンターフレーム (Center Stage)機能ももちろん搭載しています。
Bluetooth 5.2非対応でLE Audioが使えなかったり、イヤホンジャックがないなど、ワイヤレスイヤホンを使う上で一部欠点もありますが我慢でききる範囲です(iPhone 13 シリーズもですし)。
ちなみに前世代から比べると100ドルほど値上げされていますが、値上げも納得のアップグレードですね。
注目すべきポイント Best 3 は?
ここまで iPad(第9世代) と iPad mini(第6世代)の仕様についてみてきました。ここではそれを踏まえた上で、注目すべき3つのポイントを紹介していきたいと思います。
センターフレーム (Center Stage)
センターフレームは2021年前半に発表されたiPad Pro(第5世代)から実装された機能です。どういった機能かといいますと、インカメラに映る人物を検出して自動で中央に映るように調整してくれる機能です。カメラに映る人物が複数に増えても、全員が映る範囲を自動で映してくれます。
もちろん搭載されたインカメラの画角から出てしまっては検出できませんが、検出精度はかなり高いのでとてもよくできた機能だと思います。Appleお得意の機械学習を使った機能ですね。
ここまでであれば特に驚くことではありません。確かに優れた機能機能ですが iPadの最上位モデルなら搭載されていて当然でしょう。しかし、今回驚いたのは最廉価モデルのiPad(第9世代)から利用可能になったということです。もちろんiPad mini(第6世代)でも利用可能です。
ただし、注意が必要なのが価格的に上位機種に当たるiPad Air(第4世代)では非対応という点です。この機能を使いたいという人は注意しましょう。
iPad の世代交代
(https://www.apple.com/jp/ipad/compare/ より引用(2021/9/21))
ここでは少し視野を広げてiPadシリーズとして見てみましょう 。今回のiPadシリーズ は iPad mini の外観や性能が大幅にアップグレードされるなど、見た目からも iPad の世代交代が感じ取れる製品になりました。
2021年現在展開されている iPadシリーズは大きく分けて4種類。その4種類とは iPad Pro, iPad Air, iPad mini そして iPad です。今回の iPad mini(第6世代) のリニューアルによって4種類のiPadのうち3種類のiPadがベゼル幅が均一なデザインになりました。
昔ながらの前面ホームボタンが採用されたiPadから懐かしさが漂うほどに、ここ数年でiPadのデザインは大幅に変わりました。性能の進化も大きいですが、外観の変化からもiPadシリーズの大きな世代交代が感じられます。
iPadシリーズとしての魅力
安くて高性能
iPadシリーズの大きな魅力、それは価格と性能でしょう。昨年発売の iPad Air(第4世代) は iPhone 12シリーズと同じA14 Bionic、今回の iPad mini(第6世代) は iPhone 13シリーズと同じA15 Bionicと、上位機種では最新のSoCを搭載しています。それにも拘わらず同世代のiPhoneに比べて安価です。
1つのチップ上にCPU,GPU,DSP,メモリコントローラといった必要な機能をまとめて実装するという設計手法またはそのチップ。1つのチップに機能を集めることで、製品設計の単純化、省スペース化、内部バス高速化などが容易となる。特に設計の単純化と省スペース化は製品開発に使える期間が短く小型化が必要なモバイル端末にとって有利である。
また、iPadに関しても同等性能をもつタブレット端末に対して多機能かつ快適に動作し、安価に手に入ります。
何故そのようなことが出来るのかについては、詳細は後程『Apple Silicon から見える効率化』の中で触れたいと思います。
高性能で安価というのは我々学生にとってもうれしいことです。身の回りでも簡単な動画編集や書類作成はiPadで、という人も多いのではないでしょうか?iPhoneのようなカメラ性能ではなく処理性能が欲しい人や、動画サービスを楽しみたいという人にとってもiPadは非常に優秀な端末ですね。
クリエイティブに使える機能
2019年にiPad OSが発表されて以降、AppleはiPadシリーズ独自の機能を追加してきました。例えば、iPhoneより大型な画面を生かして2つのアプリケーションを同時に起動できるSplit Viewは利便性が高く、Windows PC や Mac ほどではなくとも、マルチタスクを必要とする場面で非常に有用です。
また、Apple Pencilといったオプションも優秀です。Apple Pencilは画面との視差(ペン先と描かれる点のずれ)が小さく追従性も良いので、字や絵も描きやすいです。他社にもディジタルペンはありますが、個人的にはSurface Penでも及ばないくらい視差と追従性は優れていると思います。
このようにApple Pencilは、iPadで何かを描くときに便利なオプションですし、実際に仕事で絵を描いているイラストレーターさんもいます。また、iPad OSやiOSにはGarageBandといったアマチュアでも簡易的な作曲ができるアプリがあったりとアプリ面でもクリエイティブに使えます。
このようにアマチュアからセミプロまで使えるような便利な機能を備えながら、別に機材を買うよりも安価に手に入るので、「まずはiPadを使って始めてみよう」となるのがiPadシリーズの良いところですね。始めるなら早いほうがいいですから。
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従来よりも省電力かつ少ないデータ量で同等音質が標準で転送できる新機能。それによって高音質の音楽データを転送できるようになった。ちなみにLC3コーデックというものが採用されている。Ver. 5.2以前のBluetoothでは、高音質の転送を行うためにLDACやapt-X系の高音質コーデックに対応する必要があったが、Apple製品では対応していなかった。